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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁
――実は、弔慰をかねて、そのことも取りきめて参れと、主君から申しつけられて来たわけですが」
「いや、そのことは、いずれまたあらためて、談合しましょう」
「またとは、いつですか」
「まあ、ここは宴席ですから、国事は」
「後でもおよろしいが、かならず前約を違え給わぬように」
そう魯粛がしつこく念を押していると、突如、孔明がかたわらから言葉に気概をこめて云った。
「粛公、あなただけは、呉の群臣の中でも、物の分ったお人かと思っていたら、今の仰せでは、あまりにも世の本義と事理に没常識すぎるではないか。主君玄徳は、貴方を弔問の賓客として、懇ろにもてなそうとしているのに、露にいうを避けておいで遊ばすゆえ、私が代って一応の道理を申しのべよう。心をしずめてよく聞き給え」
面色をあらためて孔明がそう云い出したので、魯粛は、気をのまれたのか、茫然、その顔を見まもっていた。
「天下は一人の天下にあらず、すなわち天下の人の天下である。高祖、三尺の剣をひっさげて、義を宇内に唱え、仁を布き、四百余年の基を建てられしも、末世現代にいたり、中央は逆臣の府、地方は乱賊の巣と化し、紊れに紊れ、百姓の塗炭は連年歇まざる状態にある。