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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

二

「ここが我慢のしどころです」と、もがく周瑜を抱き止めながら、船手の者に、

「帆を張りあげろ。早く船を中流へ出せ」と、命じた。

周瑜はなお、眦に血涙をたたえて、

「無念。実に無念。かかる恥をうけ、かかる結末をもって、なんで、大都督周瑜たるものが、再び呉国へ帰れよう。おめおめと呉侯にお目にかかれよう。――おれは恥を知っている!」

と、叫びながら、歯をギリギリ咬み鳴らしたと思うと、その口からかっと真っ赤な血を吐いて、朽木仆れに船底へ仆れてしまった。

二

「都督っ。周都督」

「お気をたしかに持って下さい」

呉の諸将は、周瑜の体を抱き起し、左右から悲痛な声をふり絞った。

しばらくして、周瑜はようやく、うす目をひらいた。

「……船を。船を呉へ向けてくれ」

かすかな声でいった。

蒋欽と周泰は、病都督の身を守って、柴桑まで帰った。

周瑜は恨みをのみながら、ふたたび病牀に親しむのほかなかった。

けれど、やがてこの始末を知った呉侯孫権の鬱憤はやりばもなく、日夜、

「どうしてこの報復を」と、玄徳を憎んでいた。

ところへまた、病中の周瑜から、長文な書簡がきた。

――君。一日も早く、兵馬を強大にし、荊州を討ち懲らし給え。