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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁
趙雲は、その敵と鎗をまじえながら、驚いて叫んだ。
猛将淳于導も、こんどの相手は見損っていた。かなわじと、あわてて馬の首をめぐらしかけた刹那、趙雲のするどい鎗は、すでに彼の体を突き上げて、一旋! 血を撒きこぼして、大地へたたきつけていた。
残る雑兵輩を追いちらして、趙雲は糜竺を扶けおろした。そして敵の馬を奪って、彼を掻き乗せ、また甘夫人も別な駒に乗せて、長坂橋のほうへ急いだ。
――と。
そこの橋の上に、張飛が馬を立てていた。さながら天然の大石像でも据えてあるような構えである。ただ一騎、鞍上に大矛を横たえ、眼は鏡の如く、唇は大きくむすんで、その虎髭に戦々と微風は横に吹いていた。
「やあっ。それへ来たのは、人間か獣か」
いきなり張飛が罵ったので、趙雲もむッとして、
「退がれっ。甘夫人の御前を――」と、叱りとばした。
張飛は、彼のうしろにある夫人の姿に、初めて気がついて、
「おお、趙雲。貴様は曹操の軍門に降伏したわけじゃなかったのか」
「何をばかな」
「いや、その噂があったので、もしこれへ来たら。一颯のもとに、大矛の餌食にしてやろうと、待ちかまえていたところだ」