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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁
と、いう文聘の話に、許※(「ころもへん+睹のつくり」、第3水準1-91-82)、楽進などみな歯がみをして、
「さりとは腑がいなき味方の弱腰。いかに張飛に天魔鬼神の勇があろうと、この大軍と丞相の威光を負いながら、追い崩されて帰るとは何事だ。いで、われこそ彼奴を――」
と、諸将は争って、橋のこなたまで殺到した。
そこの一橋こそ、河をへだてた敗敵にとっては、恃みの一線である。いかにここを防がんかと、さだめしひしめき合っているであろうと予想してきてみると――こは抑いかに、楊柳は風もなく垂れ、水は淙々と奏で、陽ざしもいとうららかな長橋の上に、ただ一騎の人影が、ぽつねんと、そこを守っているきりだった。
「……はてな?」
疑いながら、諸将は駒脚をなだめて、徐々と橋口へ近づいて行った。――見れば、丈八の矛を横たえ、※(「灰/皿」、第3水準1-88-74)を脱いで鞍にかけ、馬足をしっかと踏み揃えた大武者が、物もいわず、動きもせず、くわっと、睨みつけていた。
「あっ、張飛だ」
「張飛」
思わず口々をもれる声に――馬は怖れをなしたか、たじたじと、蹄を立てて後ろへ退がった。
「…………」