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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁
「きょう呉君にお会いになって、曹操の兵力を問われても、あまり実際のところをお云いにならないほうがよいと思います。何ぶん、文武の宿老には、事なかれ主義の人物が大半以上ですから」
魯粛は、親切にささやいたが、孔明には、別に確たる自信があるものの如く、ただうなずいて見せるだけだった。
柴桑城の一閣には、その日、かくと聞いて、彼を待ちかまえていた呉の智嚢と英武とが二十余名、峩冠をいただき、衣服を正し、白髯黒髯、細眼巨眼、痩躯肥大、おのおの異色のある威儀と沈黙を守って、
(さて。どんな人物?)と、いわぬばかりに居並んでいた。
孔明は、すがすがしい顔をして、魯粛に導かれて入ってきた。そして居並ぶ人々へ、いちいち名を問い、いちいち礼をほどこしてから、
「いただきます」
と、静かに客位の席へついた。
その挙止は縹渺、その眸は晃々、雲をしのぐ山とも見え、山にかくされた月とも思われる。
(さてはこの人、呉を説いて、呉を曹操に当らせんため――単身これへ来たものだな)
さすが呉国第一の名将といわれる張昭は、じろと瞬間に、そう観やぶっていた。
三
一同こもごもの挨拶がすむと、やがて張昭は、孔明に向って云った。