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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁
――さるを履を綯えばとて賤しみ、蓆を織りたればとて蔑むなど、そんな眼をもって、世を観、人生を観、よくも一国の政事に参じられたものではある。民にとって天変地異よりも怖ろしいものは、盲目な為政者だという。けだし尊公などもその組ではないか」
陸績は胸ふさがって、二の句もつげなかった。
昂然、また代って立ったのは、彭城の厳、字は曼才。
「さすがは孔明、よく論破された。わが国の英雄、みな君の弁舌におおわれて顔色もない。そも、君はいかなる経典に依ってそんな博識になったか。ひとつその蘊蓄ある学問を聴こうではないか」
と、揶揄的にいった。
孔明は、気を揮って、それへ一喝した。
「末梢を論じ、枝葉をあげつらい、章句に拘泥して日を暮すは、世の腐れ儒者の所為。何で国を興し、民を安んずる大策を知ろう。漢の天子を創始した張良、陳平の輩といえども、かつて経典にくわしかったということは聞かぬ。不肖孔明もまた、区々たる筆硯のあいだに、白を論じ黒を評し、無用の翰墨と貴重の日を費やすようなことは、その任でない」
「こは、聞き捨てにならぬことだ。では、文は天下を治むるに、無用のものといわれるか」