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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

「それをどうするので?」

「船ごとに、士卒三十人を乗せて、船体はすべて、青い布と、束ねた藁でおおい、この岸に揃えて下されば、三日目までに、必ず十万の矢をつくりあげ、周都督の本陣まで運ばせます。――ただしまた、このことも、決して周都督にはご内密にねがいたい。或いは、都督がお許しなきやも知れませんから」

魯粛は立ち帰って、またもその通りに周瑜へ告げた。――余りにも孔明の云いぶんが奇怪でたまらないので、いったいどういう肚だろうかを、周瑜の意見に訊ねてみたい気もあったからである。

「……分らんなあ?」

周瑜も首を傾けて考えこんだきりであった。こうなると、ふたりとも、孔明が何を考えて、そんな不可思議な準備を頼むのか、やらせてみたい気がしないでもない。

「どうしましょう」

「まあ、やるだけのことを、やらせて、見ていたらどうだ。――充分、警戒は要するが」

「では、ともかく、船二十艘に望みの兵を貸してみましょうか」

「むむ。……しかし、油断するな」

「心得ています」

第二日目の日も過ぎて、三日目の夜となった。それまでに、二十艘の兵船は、孔明のさしず通り、藁と布ですっかり偽装を終り、各船に兵三十人ずつ乗りこんで、むなしくなす事もなく、江岸につながれていた。