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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁
故にわざと日時を明示せず、好機を計って参らんというこそ、事の本心を証するもの、またよく兵の機謀にかなうもの、これをかえって疑いの種となす丞相の不明を、愍れまずにいられません」
「むむ、その言はいい」
曹操は、大きくうなずいた。
「まことに、一時の不明、先ほどからの無礼は許せ」
彼はにわかに、こう謝して、賓客の礼を与え、座に請じて、あらためて※(「門<敢」、第3水準1-93-58)沢の使いをねぎらい、酒宴をもうけて、さらに意見を求めた。
ところへ、侍臣の一名が、外から来て、そっと曹操の袂の下へ、何やら書状らしいものを渡して退がった。
「ははあ……。さては呉へまぎれ込んでいる蔡和、蔡仲から、何かさっそく密謀が来たな」
と感づいたが、沢は何げない態をつくろって、しきりと杯をあげ、かつ弁じていた。
裏の裏
一
酒のあいだに曹操は、蔡和、蔡仲からの諜報を、ちらと卓の陰で読んでいたが、すぐに袂に秘めて、さり気なくいった。
「さて沢とやら。――今はご辺に対して予は一点の疑いも抱いておらん。この上は、ふたたび呉へかえって、予が承諾した旨を黄蓋へ伝え、充分、諜しあわせて、わが陣地へ来てくれい。