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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

するとさっきから岸の辺に待ちうけていたらしい男が、この時、つと楊柳の陰から走り出して、

「曲者、待て」と、うしろから抱きついた。

※(「广+龍」、第3水準1-94-86)統は、ぎょっとして、両の脚を踏んばりながら振り向いた。

その者は、身に道服を着、頭に竹の冠をいただいている。そして怖ろしい剛力だった。いかに身をもがいてみても、組みついた腕は、びくともしないのであった。

「曹丞相の客として、これに迎えられ、いま帰らんとするこの方にたいして、曲者とは何事だ、狂人か、汝は!」

叱りつけると、男は、満身から声をふりしぼって、

「白々しい勿体顔。その顔、その弁で、丞相はあざむき得たかも知れんが、拙者の眼はだまされぬぞ。――呉の黄蓋と周瑜がたくみに仕組んだ計画のもとに、先には苦肉の計をなして、沢を漁夫に窶して送り、また蔡仲、蔡和などに書面を送らせ、いままた、汝、呉のために来て、大胆不敵にも丞相にまみえ、連環の計をささやいたるは、後日の戦いに、わが北軍の兵船をことごとく焼き払わんという肚に相違ない。――何でこのまま、江南に放してよいものか。さあもう一度中軍へ戻れ」