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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

もし以前に、蘇飛がてまえを助けてくれなかったら、今日、てまえの功はおろか一命もなかったところです」

と、頓首して、訴えた。

孫権も考えた。――もし蘇飛がその仁をしていなかったら、今日の呉の大勝もなかったわけだと。

しかし、彼は首を振った。

「蘇飛を助けたら、蘇飛はまた逃げて、呉へ仇をするだろう」

「いえ、決して、そんなことはさせません。この甘寧の首に誓って」

「きっとか」

「どんな誓言でも立てさせます」

「では……汝に免じて」と、ついに蘇飛の一命はゆるすといった。

それに従って、甘寧の手引きした呂蒙にも、この廉で恩賞があった。以後――横野中郎将ととなうべしという沙汰である。

するとたちまち、こういう歓宴の和気を破って、

「おのれッ、動くな」

と怒号しながら、剣を払って、席の一方から甘寧へ跳びかかってきた者がある。

「あっ、何をするかっ」

叱咤しつつ、甘寧も仰天して、前なる卓を取るやいな、さっそく相手の剣を受けて、立ち向った。

「ひかえろっ! 凌統っ」

急場なので、左右に命じているいとまもない。孫権自身、狼藉者をうしろから抱きとめて叱りつけた。

この乱暴者は、呉郡余杭の人で、凌統字を公績という青年だった。