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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

ここに至って、城兵は全面的に崩れ立ち、呉軍は勢いに乗って、滔々と殺到した。

喊鼓、天をつつみ、奔煙、地を捲いて、

「今なるぞ。この期をはずすな」

と、周瑜の猛声は、味方の潮を率いてまっ先に突き進んでゆく。

息もつかせぬ呉兵の急追に、度を失ったか曹仁、曹洪をはじめ、城門へも逃げ込み損ねた守兵は、みな城外の西北へ向って雪崩れ打って行った。

すでに周瑜は城門の下まで来ていた。見まわすところ、ここのみか城の四門はまるで開け放しだ。――いかに敵が狼狽して内を虚にしていたかを物語るように。

「それっ、城頭へ駈け上って、呉の旗を立てろ」と、もう占領したものと思いこんでいた周瑜は、うしろにいる旗手を叱咤しながら、自身も城門の中へ駈けこんだ。

すると、門楼の上からその様子をうかがっていた長史陳矯が、

「ああ、まさにわが計略は図にあたった。――曹丞相が書きのこされた巻中の秘計は神に通ずるものであった!」と、感嘆の声を放ちながら、かたわらの狼煙筒へ火を落すと、轟音一声、門楼の宙天に黄いろい煙の傘がひらいた。

とたんに、あたりの墻壁の上から弩弓、石鉄砲の雨がいちどに周瑜を目がけて降りそそいで来た。