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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

すると、彼の前に、一輛の四輪車が、埃をあげて押し出されて来た。見ればその上に、年まだ二十八、九としか思われぬ端麗な人物が、頭に綸巾をいただき、身には鶴を着、手に白羽扇を持って、悠然と乗っている。――何かしらぎょッとしたものを受けたらしく、※(「形のへん+おおざと」、第3水準1-92-63)道栄が悍馬の脚を不意に止めると、車上の人は、手の白羽扇をあげてさしまねきながら、

「それへ来たのは、鉞をよく振るとかいう零陵の小人か。われはこれ南陽の諸葛亮孔明である。聞きも及ばずや、さきに曹操が百万の軍勢も、この孔明が少しばかりの計を用うるや、たちまち生きて帰る者はひとりもない有様であった。汝ら、湖南の草民ずれが、何するものぞ。すみやかに降参して、民の難を少なくし、身の生命をひろえ」

「わははは。聞き及ぶ孔明とかいう小利巧者は貴様だったか。青二才の分際で、戦場に四輪車を用うるなどという容態振りからして嘔吐が出る。赤壁で曹操を破ったものは、呉の周瑜の智とその兵力だ。小賢しいわれこそ顔、片腹いたい」

喚き返すやいな、大鉞を頭上にふりかぶり、悍馬の足を、ぱっと躍らせてきた。