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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

と、関羽は一挙に長沙の城へ入って、城頭に勝旗をかかげ、城下一円に軍政の令を布いた。

「黄忠は、どうしているか」

その後ですぐ訊ねると、魏延は、

「それがしが韓玄を斬るべく奥へ向った時、眼をふさぎ耳を抑えて、自分の邸へ駈けこんで行きました」

「戦は熄んだ。では、迎えをやろう」

と、再三、関羽から使いを出したが、黄忠は病に托して出てこない。

かかるうちに玄徳は、関羽の早馬をうけて、

「さすがは」と、彼の功を賞しながら、孔明と馬をならべて、長沙の市門へ急いでいた。

その途中、先頭に立てていた青い軍旗の上に、一羽の鴉が舞い下がって啼くこと三度、北から南の空へ飛び去った。

「先生。何か凶兆ではないでしょうか」と、孔明に訊くと、

「いや、吉兆です」と、孔明は、衣の下で何か指をくりながら、卜をたてて答えた。

「これは、長沙の陥落と共に、良将を獲たことを祝福して、鴉が天告をもたらして来たものです。かならず何かいい事がありましょう」

果たせるかな、玄徳は、黄忠、魏延のことを、間もなく、出迎えの関羽から聞いた。

「――病に托して門を出ないのは、黄忠の旧主にたいする忠誠にほかならない。