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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

「――あっ」

と、諸人は胆をつぶした。彼の矢は、あまりにも見事に、柳の枝を射切っていたからである。柳葉繽紛と散りしだき、紅錦の袍は、ひらひらと地に落ちてきた。

同時に、徐晃は駈け寄りざま、馬袍をすくい取って、自分の背なかに打ちかけ、馬をとばして直ぐ馳せ戻り、楼の台上を仰いで、

「丞相の賜物、謹んで拝謝し奉る」

と、呶鳴った。

「ひどいやつだ」と、諸人みな、呆れ顔して騒然と囃していると、台下に立っていた群将の中から駈け出した許が、物もいわず徐晃の弓を握って、いきなり馬の上から彼を引きずり下ろした。

「やっ。狼藉な」

「何の。まだ丞相のおゆるしはなし。その袍の受領者は、いずれに行くか、腕のうちにありだ」

「無法無法」

「渡せ。いで渡せ」

とうとう、二人は引っ組んで、四つになり、諸仆れになり、さんざん肉闘して、肝腎な錦の袍もために、ズタズタに引裂いてしまった。

「分けろ、引分けろ」

曹操は台上から苦笑して命じた。

物々しく、退鉦打たせて、曹操はその二人をはじめ、弓に鍛えをあらわした諸将を一列に招き呼んで、

「いや、いずれ劣らぬ紅や緑。日頃のたしなみ、武芸の励み、見とどけたぞ。