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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁
時呉兵ヲシテ遠伐ニ赴カシメ、自ラ守ルヲ虚シュウスルハ長計ニ非ザル也。操ガ兵一度至ラバ、江南粉滅サレ尽サン。
坐シテ視ルニ忍ビズ、ココニ告グ。幸イニ照覧ヲ垂レヨ。
読み下してゆくうちに、周瑜は恨気胸にふさがり、手はわななき、顔色も壁土のようになってしまった。
「ううむっ……」と、太く、苦しげに、長嘆一声すると、急に、
「筆、筆、筆。……紙を。硯を」
と、さけび、引ったくるように持つと、必死の形相をしながら、なにか懸命に書き出した。文字はみだれ、墨は散り、文は綿々と長かったが、遂に書き終るや否、筆を投げて、
「ああ、無念っ……無情や人生。皮肉なることよ宿命……。天すでに、この周瑜を地上に生ませ給いながら、何故また、孔明を地に生じ給えるや!」
云い終ると、昏絶して、一たん眼を閉じたが、ふたたびくわっと見ひらいて、
「諸君。不忠、周瑜はここに終ったが、呉侯を頼む。忠節を尽して……」
忽然、うす黒い瞼を落し、まだ三十六歳の若い寿に終りを告げた。時、建安十五年の冬十二月三日であったという。
鳳雛去る
一
喪旗を垂れ、柩をのせた船は、哀々たる弔笛を流しながら、夜航して巴丘を出て、呉へ下って行った。