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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

その頃、曹操は北岸へ上がって、一息ついているというので、魏の諸将もおいおい集まってきた。許は満身に矢を負うこと、簑を着たようであったが、人々の介抱を拒んで、

「丞相はおつつがないか」と、そればかり口走っていた。

「貴体には何のご異状もない」と、人々は慰めて、ようやく彼を陣屋の中に寝かしつけた。

曹操は、部下の見舞をうけながら、甚だしく快活に、終始きょうの危難を笑いばなしに語っていたが、

「そうそう、渭南の県令を呼んでくれ」と、丁斐を召し寄せ、

「今日、南山の牧を開いて、官の牛馬をみな追い出したのはおまえか」と、質した。

丁斐は、当然、罪をこうむるものと思って、

「私です。ご処罰を仰ぎます」

と、悪びれずにいった。

「処分してやる」

と、曹操は祐筆をかえりみて何かいった。祐筆はすぐ一通の文をしたためて来て、丁斐に授けた。

「丁斐、披見してみろ」

丁斐が畏る畏る開いてみると、今日ヨリ汝ヲ典軍校尉ニ命ズ、という辞令であった。

校尉丁斐は、感泣して、

「長くこの渭南に県令としておりましたので、いささか地理には精通しています。鈍智の一策をお用い賜わらば、光栄これに過ぎるものはありません」