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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁
人馬を高い所へ移すいとまもなく、遥か上流のほうから、真っ黒な水煙をあげて、奔々の激浪が押してきた。
遠い上流のほうで、もう半月も前から、西涼軍が、堰を作って、河水を溜めていたものである。
なんで堪ろう。小石まじりの河原土なので、土城は一朝にして崩れてしまった。壕も坑も埋まって跡形もない。
九月に入った。
北国のならいで、もう雪が降りだしてくる。灰色の密雲がふかく天をおおって、ここ幾日も雪ばかりなので、両軍とも、兵馬をひそめたまま睨み合っていた。
「西涼の胡夷どもは、寒さに強いし、また潼関へも引き籠れるが、味方はこの野陣のままでは、冬中吹雪にさらされておらねばならぬ。何とか、よい工夫はないか」
曹操とその幕将が、その日もしきりに討議しているところへ、飄然、名を告げて、この陣営へ訪れて来たものがある。
「これは、終南山の隠居、道号を夢梅という翁でござる」
容も凡ではない。
曹操が、見て、
「何しに来たか」
と、問うと、夢梅は、
「この夏頃から、丞相には、渭水の北に城寨を築こうとなされているらしいが、なぜ火水に潰えぬ城をお造りにならぬかと、愚案を申しあげに来ましたのじゃ」