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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

ば人でないような、我が世の春を、謳歌していた。

「さすがは、花の都」

張松も、眼を驚かされた。魏の文化の眩さに、白馬七頭に積んできた礼物も、曹操の前に出すには気恥ずかしいような気がした。

ひとまず旅館に落着き、相府に入国の届を出し、また迎使部の吏を通じて、拝謁簿に姓氏官職などを記録し、

「やがて丞相からお沙汰のあるまで相待つように」

という吏員のことばに従って、その日の通知を待っていた。

ところが、幾日たっても、相府からの召しがないので怪しんでいると旅亭の館主が、

「それは、姓氏を簿に書き上すとき、賄賂を吏員に贈らなかったからでしょう」

と、注意してくれた。

そこで、客舎の主人から莫大な賄賂を相府の吏員に贈ると、ようやく五日目ごろに、沙汰があって、張松は、曹操に目通りすることができた。

曹操は、一眄をくれて、

「蜀はなぜ毎年の貢ぎ物を献じないか」

と、罪を責めた。

張松は、答えて、

「蜀道は、嶮岨な上に、途中盗賊の害多く、とうてい、貢ぎを送る術もありません」

と、いった。

曹操は、甚だしく、自分の威厳を損ぜられたような顔をして、

「中国の威は、四方に遍く、諸州の害を掃って、予は今やいながらに天下を治めておる。