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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁
――こうわれわれは聞いておるが」
「松君。それは君の認識がちがう。蜀の辺隅にいるため、如何せん、君の社会観も人物観も、ちと狭い。丞相の大才は、とうていおわかりになるまい」
「いやいや、僕の偏見よりは、かえって、中央の都府文化に心酔し、それを万能として、天下を見ている人の主観には、往々、病的な独善がある。曹操の大才とは、一体どれ程なものか、何か端的にお示しあるなら、伺いたいものだが」
「よろしい、たとえば、これをご覧なさい」
楊修は起って、書庫の棚から、一巻の書を取出し張松の手に渡した。
題簽には、孟徳新書とある。
張松は、ざっと内容へ目を通した。全巻十三篇、すべて兵法の要諦を説いたものらしい。
「これは、誰の著ですか」
「曹丞相がご自身、軍務の余暇に筆をとられて、後世兵家のために著された書物です」
「ははあ、器用なものだな」
「古学を酌んで、近代の戦術を説き、孫子十三篇に擬えて、孟徳新書と題せらる。この一書を見ても丞相の蘊蓄のほどがうかがえましょう」
張松はわらって、楊修の手へ、書物を返しながら、
「わが蜀の国では、これくらいな内容は、三尺の童子も知り、寺小屋でも読んでおる。