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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁
曹仁は、自分の達見を誇った。城下にも街にも敵影は見あたらない。のみならず百姓も商家もすべての家はガラ空きである。老幼男女はもとより嬰児の声一つしない死の街だった。
「いかさま、百計尽きて、玄徳と孔明は将士や領民を引きつれて、いち早く逃げのびてしまったものと思われる。――さてさて逃げ足のきれいさよ」と曹洪や許※(「ころもへん+睹のつくり」、第3水準1-91-82)も笑った。
「追いかけて、殲滅戦にかかろう」という者もあったが、人馬もつかれているし、宵の兵糧もまだつかっていない。こよいは一宿して、早暁、追撃にかかっても遅くはあるまいと、
「やすめ」の令を、全軍につたえた。
その頃から風がつのりだして、暗黒の街中は沙塵がひどく舞った。曹仁、曹洪らの首脳は城に入って、帷幕のうちで酒など酌んでいた。
すると、番の軍卒が、
「火事、火事」
と、外で騒ぎ立ててきた。部将たちが、杯をおいて、あわてかけるのを、曹仁は押し止めて、
「兵卒どもが、飯を炊ぐ間に、あやまって火を出したのだろう。帷幕であわてなどすると、すぐ全軍に影響する。さわぐに及ばん」と、余裕を示していた。
ところが、外の騒ぎは、いつまでもやまない。