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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁
「劉玄徳は、仁人である。故主の墳墓の土も乾かぬうちに、曹操へ降を乞い、国を売るの賊、汝らこそ怪しからん。――いで、魏延が城門をあけて、玄徳を通し申さん」と云い出した。
蔡瑁は仰天して、張允に、
「裏切り者を討て」と命じた。
時すでに、魏延は部下をひきいて、城門のほうへ殺到し、番兵を蹴ちらして、あわや吊橋をおろし、
「劉皇叔! 劉皇叔! はやここより入り給え」
と、叫んでいる様子に、張允、文聘などが、争ってそれを妨げていた。
城外にいた張飛、関羽たちは、すぐさま馬を打って駆け入ろうとしたが、城中の空気、鼎の沸く如く、ただ事とも思われないので、
「待て、しばし」と急に押し止め、
「孔明、孔明。ここの進退は、どうしたらいいか」と、訊ねた。
孔明は、うしろから即答した。
「凶血が煙っています。おそらく同士打ちを起しているのでしょう。しかし、入るべからずです。道をかえて江陵(湖北省・沙市、揚子江岸)へ行きましょう」
「えっ、江陵へ?」
「江陵の城は、荊州第一の要害、銭糧の蓄えも多い土地です。ちと遠くではありますが……」
「おお、急ごう」
玄徳が引っ返して行くのを見ると、日頃、玄徳を慕っていた城中の将士は、争って、蔡瑁の麾下から脱走した。