轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

「朝日新聞」1941(昭和16)年2月18日~8月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 页

青空文庫

「郡奉行の鷲尾どのと、老公のおふたりをのぞいては――」

文八は、おとといの夕方、江橋林助が増井川の附近で見かけたという怪しげな旅商人のことなど思い出していた。それに関連があるのではなかろうか――と、さまざまな想像をめぐらしはじめた。

たれいうとなく、

(老公のご身辺も、よほどご注意申しあげぬと……)

などと暗に危険を示唆する声はふだんにも聞くことだった。

といって、そのひとに、

(なぜ?)

と、たずねても、誰も答えはしないのである。また、明確に分っているものもないのである。

にもかかわらず、この清隠の一高士のまわりには、なんとなく去来する暗雲のようなものが感じられた。

漠としてではあるが、

(老公は由来、幕府から忌まれておいでになる。老公の御事業は、反幕的の尤なるものと、幕府の学者はみな口をそろえて、将軍家へ讒している。また政治的には、柳営第一の権臣柳沢吉保が、肚のそこから老公を憎んでいる)

それらの事が、つねに人々の心を、なんとはなく脅かす根柢となっているらしい。文八も、それだけは、是認する。

しかし、それと雪乃母娘と、なんの関連があろう。――要するに、まったく別問題か。