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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

「朝日新聞」1941(昭和16)年2月18日~8月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 页

青空文庫

親方も、佐々さんも、飲ける口だからね、よろこぶだろうぜ」

ふたりは、もとの仕事場へ、いっしょに帰った。

「水が来た」

「茶が来た」

と、みな寄りたかって、冷たい水で、汗の手拭いをしぼったり、渋茶をのんだり、ようやく、残暑の苦熱を一しのぎした。そして、

「さあ、やろうぜ」

また夕方までの仕事にかかった。

介三郎も、鍬をとって、塚のうえの地形を手伝った。馴れない者の手伝いなどは、全体の仕事にはほとんど影響もないことは分っていたが、幾百年、草茫々と埋もれていた忠臣の古墳にたいして、

(土かつぎも、身のほまれ)

と、すすんで鍬をもちたくなったのである。

鍬の音、鑿の音。――それから土台に敷く大石を、てこで塚のうえに押上げる人夫たちの懸声など――夕方の草いきれは陽ざかりよりべつな暑さだった。

すこし先の街道には、旅人たちが立ちどまって、不審そうにささやき合っていた。

「なんでしょう。あんな畠のなかへ」

「何か、碑が建つらしゅうございますね」

「だれの碑で」

「さあ、たれの碑やら?」

六

道具片づけもすまして、為と勘太が、その仕事場から帰って来るのを見かけて、旅人たちの一名が、