轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

「朝日新聞」1941(昭和16)年2月18日~8月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 页

青空文庫

たわしで碑を洗いあげるのだった。

幾百年ののち、光圀という故人も知らなかったひとが、この碑を作り、そして自分たちがこうして今、それを世に建てる前に、湊川の水で洗っている――

もし霊あれば、湊川の水は、かならず正成を再生させるであろう。七度生れかわって国を護ろうとさけんだあの霊が。

「…………」

水を汲みに通いながら、勘太はそんなことを考えていた。するともう冬ざれの草原を踏んで、がさがさと歩いて来た四、五人がある。

恟ッとして立ちどまると、勘太は背なかの刀傷に、冬の痛みを急に思い出した。

例の三人づれである。

ほかにこの土地のばくち打ちの親分らしい風体の恐いのがふたり、地所でも買うような顔して見まわしていた。

「この辺ならいいが、小屋がけにするにゃあ、石ッころが多くてしようがねえ。あの畠地の中の草っ原はいい恰好に丘の陰になっているが、なんだい、あの上におっ建った変な碑は」

花隈の熊というと、この辺の漁村や町では、恐がられている親分である。もうひとりは生田の万とかいう精猛なる懶け者であった。

たびたび通る浪人者は、こういう仲間につかわれている用心棒とでもいうものか、二本の刀のてまえもなく、それにペコペコしていった。