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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

もちろん黄蓋ははや虫の息となって、昏絶してしまった。周瑜もさすがに、顔面蒼白になって、睨めつけていたが、唾するように指して、

「思い知ったか!」

云い捨てると、そのまま、営中へ休息に入ってしまった。

諸将はその後で、黄蓋を抱きかかえ、彼の陣中へ運んで行ったが、その間にも、血は流れてやまず、蘇生してはまたすぐ絶え入ること幾度か知れないほどだったので、日頃、彼と親しい者や、また呉の建国以来、治乱のあいだに苦楽を共にしてきた老大将たちは、みな涙をながして傷ましがった。

この騒ぎを後に、孔明はやがて黙々と、自分の船へ帰って行った。そして独り船の艫にいて、船欄から下をのぞみ、何事か沈吟にふけりながら、流るる水を見入っていた。

魯粛は、彼のあとを追ってきたらしく、孔明がそこに腰かけていると、すぐ前に現れて話しかけた。

「どうも、きょうのことばかりは、胸が傷みました。周都督は、軍の総司令だし、黄蓋は年来の先輩。諫めようにも、あのお怒りでは、かえって、火に油をそそぐようなものですし……ただはらはらするのみでした。――けれど、先生は他国の賓客であり、先頃から周都督も、心から尊敬を払っておられるのですから、もし先生が、黄蓋のために取りなして下さればとは、ひとり魯粛ばかりでなく、みなそう思っていたらしく見えました。