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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

……然るに、先生は終始黙々、手を袖にして、ついに一言のお口添えもなさらず、ただ見物しておられた。……それには何か深いお考えでもあったのですか」

「はははは、それよりもお訊きしたいのは、貴公こそ、何故、この孔明を欺こうとはなさるるか」

「や? これは異な仰せ。あなたを呉へお伴れして参ってから以来、それがしはまだあなたを欺いたことなど一度もないつもりですが」

「――ならば、貴公はまだ、兵法に秘裏変表の不測あることをご存じないとみえる。周瑜が今日、朱面怒髪して、黄蓋に百打の笞を刑し、憤然、陣中の内争を外に発してみせたのは、みな曹操をあざむく計である。何でそれを孔明が諫めよう」

「えっ、ではあれも計略ですか」

「明白な企み事です。――が、粛兄。孔明がそういったということは、周都督へは、必ず黙っていて下さいよ。問われても」

「……ははあ! さては」

魯粛は、気の寒うなるのを覚えた。けれどなお半信半疑なここちで、その夜、ひそかに帳中で、周瑜と語ったとき、周瑜から先にこう云い出したのを幸いに、糺してみた。

「魯粛、きょうのことを、陣中の味方は皆、どう沙汰しているね」

「滅多に見ないお怒りようと、みな恟々としておりますよ」