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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

「甘寧、丁奉と来い」と、精兵千騎だけをつれて、まっしぐらに荊州城下まで駈け通した。

「孔明も、馬鹿ではない。或いは、こっちの肚を察して、いち早く、城を明けて逃げ出したのかも知れない」

周瑜が八、九分まで信じていたものは、そういう見解だった。ところが城門へ来て、門を開けよと呼ばわると、中から、

「何者だっ」と、案外、気の強い声がした。

「呉の大都督周瑜である。なぜ劉皇叔には、出迎えに出ないかっ」

大音に叱り返すと、とたんに城頭の白旗がばたんと仆れた。そしてたちまち、それに代って炎のような紅の旗が高々と揚げられ、

「周都督、何しに来たか」

と、いう者がある。

仰いで天を見ると、櫓の上に、一人の大将の姿が小さく見えた。

「オオ趙雲ではないか。玄徳はいかがしたか」

「知らず!」と、噛んで吐き出すように、趙雲は下をのぞいていった。

「わが軍師孔明には、すでに足下が――道ヲ借リテ草ヲ枯ラス――の計を推量し、それがしをここの番につけ置かれた。他所をさがし給え。それとも、城中の趙雲に御用があるか」

と、槍を頭上にかざして、今にも投げ落そうとする姿勢を示した。

周瑜は愕いて、馬を引っ返した。