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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

奪らん。

ふたりの阿は、雷と雷が黒雲を捲いて吠え合っているようだった。――奪られたほうがすぐその槍で突かれるのだ。渡せない。離せない。

ばきッと、槍が折れた。だだだだっと、双方の駒がうしろへよろめく。いなないて竿立ちになる。すでにまた、ふたりは槍の半分ずつを持って猛烈な激闘を交えていた。

「退鉦、退鉦打て」

曹操はさけんでいた。大事な虎痴に万一があっては、全軍の士気にも関わると見たからである。

が、この微妙な戦機に、徳、馬岱の勢は、いちどに、曹軍の陣角へ、わっと強襲してかかった。

その手の敵、夏侯淵、曹洪など、面もふらず戦ったが、全体的には西涼軍の士気強く、ひた押しに圧され、乱軍中、許も肘へ二本の矢をうけた程だった。

「守って出るな」

曹操は、氷城をとざした。氷の城郭も、こうなるとものをいう。この日馬超も、軍を収めてから、

「自分も幼少からずいぶん手ごわい人間にも遭ったが、まだ許※(「ころもへん+睹のつくり」、第3水準1-91-82)の如きものは見ない。真に彼は虎痴だ」と、舌を巻いていた。

その後、曹操のほうにも、何ら、良計はなく、徐晃と朱霊のふたりに四千騎をさずけて、渭水の西に伏せ、自身、河をわたって、正面を衝こうとしたが、事前に、馬超のほうから軽兵数百騎をひきい、氷城の前に迫り、人もなげに、諸所を蹂躙し