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しぶえちゅうさい

渋江抽斎

森 鴎外

「大阪毎日新聞」「東京日日新聞」1916(大正5)年1月13日~5月17日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 166,525 字 · 334 页

青空文庫

その五十五

との二書は、今少し重く評価して可なるものであろうと思う。そして頃日国書刊行会が『訪古志』を『解題叢書』中に収めて縮刷し、その伝を弘むるに至ったのを喜ぶのである。

その五十五

抽斎の医学上の著述には、『素問識小』、『素問校異』、『霊枢講義』がある。就中『素問』は抽斎の精を殫して研窮した所である。海保漁村撰の墓誌に、抽斎が『説文』を引いて『素問』の陰陽結斜は結糾の訛なりと説いたことが載せてある。また七損八益を説くに、『玉房秘訣』を引いて説いたことが載せてある。『霊枢』の如きも「不精則不正当人言亦人人異」の文中、抽斎が正当を連文となしたのを賞してある。抽斎の説には発明極て多く、此の如き類はその一斑に過ぎない。

抽斎遺す所の手沢本には、往々欄外書のあるものを見る。此の如き本には『老子』がある。『難経』がある。

抽斎の詩はその余事に過ぎぬが、なお『抽斎吟稿』一巻が存している。以上は漢文である。

『護痘要法』は抽斎か池田京水の説を筆受したもので、抽斎の著述中江戸時代に刊行せられた唯一の書である。

雑著には『晏子春秋筆録』、『劇神仙話』、『高尾考』がある。『劇神仙話』