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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
「大阪毎日新聞」「東京日日新聞」1916(大正5)年1月13日~5月17日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 166,525 字 · 334 页
といった。
これで相談は果てた。貞固は何事もないような顔をして、席を起って帰った。富穀は跡に残って、どうか比良野を勘弁させるように話をしてくれと、繰り返して五百に頼んで置いて、すごすご帰った。五百は優善を呼んで厳に会議の始末を言い渡した。成善はどうなる事かと胸を痛めていた。
翌朝五百は貞固を訪うて懇談した。大要はこうである。昨日の仰は尤至極である。自分は同意せずにはいられない。これまでの行掛りを思えば、優善にこの上どうして罪を贖わせようという道はない。自分も一死がその分であるとは信じている。しかし晴がましく死なせることは、家門のためにも、君侯のためにも望ましくない。それゆえ切腹に代えて、金毘羅に起請文を納めさせたい。悔い改める望のない男であるから、必ず冥々の裏に神罰を蒙るであろうというのである。
貞固はつくづく聞いて答えた。それは好いお思附である。この度の事については、命乞の仲裁なら決して聴くまいと決心していたが、晴がましい死様をさせるには及ばぬというお考は道理至極である。然らばその起請文を書いて金毘羅に納めることは、姉上にお任せするといった。
その七十五