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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
「大阪毎日新聞」「東京日日新聞」1916(大正5)年1月13日~5月17日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 166,525 字 · 334 页
勝久の陸は啻に長唄を稽古したばかりではなく、幼くして琴を山勢氏に学び、踊を藤間ふじに学んだ。陸の踊に使う衣裳小道具は、渋江の家では十二分に取り揃えてあったので、陸と共に踊る子が手廻り兼ねる家の子であると、渋江氏の方でその相手の子の支度をもして遣って踊らせた。陸は善く踊ったが、その嗜好が長唄に傾いていたので、踊は中途で罷められた。
陸は遠州流の活花をも学んだ。碁象棋をも母五百に学んだ。五百の碁は二段であった。五百はかつて薙刀をさえ陸に教えたことがある。
陸の読書筆札の事は既に記したが、やや長ずるに及んでは、五百が近衛予楽院の手本を授けて臨書せしめたそうである。
陸の裁縫は五百が教えた。陸が人と成ってから後は、渋江の家では重ねものから不断著まで殆ど外へ出して裁縫させたことがない。五百は常に、「為立は陸に限る、為立屋の為事は悪い」といっていた。張物も五百が尺を手にして指図し、布目の毫も歪まぬように陸に張らせた。「善く張った切は新しい反物を裁ったようでなくてはならない」とは、五百の恒の詞であった。
髪を剃り髪を結うことにも、陸は早く熟錬した。剃ることには、尼妙了が「お陸様が剃って下さるなら、頭が罅欠だらけになっても好い」