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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

呶鳴りながら降りてくる一群の兵があった。

やがてその中から、大将らしい者が二人。

「孫将軍に会わせてくれ」と、先へ進んできた。

孫策は、近づけて、その二人を見るに、ひとりは、漆を塗ったような黒面に、太くして偉なる鼻ばしらを備え、髯は黄にして、鋭い犬歯一本、大きな唇をかんでいるという――見るからに猛気にみなぎっている漢だった。

また、もうひとりのほうは、眼朗らかに、眉濃く、背丈すぐれ、四肢暢びやかな大丈夫で、両名とも、孫策の前につくねんと立ち、

「やあ、お初に」

「あなたが孫将軍で」

と、礼儀もよくわきまえない野人むきだしな挨拶の仕振りである。

「君たちは、一体、誰かね」

孫策が、訊ねると、大鼻の黒面漢が、先に答えた。

「おれたち二人は、九江の潯陽湖に住んでいる湖賊の頭で、自分は公奕といい、ここにいるのは弟分の幼平という奴です」

「ホ、湖賊?」

「湖に船をうかべて住み、出ては揚子江を往来する旅泊の船を襲い、河と湖水を股にかけて稼いできたんでさ」

「わしは良民の味方で、良民を苦しめる賊はすなわち我が敵だ。白昼公然と、わが前に現れたは何の意か」

「いや、実あ今度お前さんがこの地方へ来ると聞いて、弟分の幼平と相談したんでさ。