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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
四
許都を中心とする新文化はいちじるしく勃興している。自己の指導ひとつで、庶民生活の様態があらたまってきたり、産業、農事の改革から、目にみえて、一般の福利が増進されてきたりするのを見ると、
「政治こそ、人間の仕事のうちで、最高な理想を行いうる大事業だ」
と信じて、年とるほど、政治に抱く興味と情熱はふかくなっていた。
この頃――
ようやくそのほうも一段落して、身に小閑を得ると、彼はふと思い出して、
「そうだ――時に例の関羽は、都へきてから、なにして暮しておるか」と侍臣にたずねた。
それに答えて近衆が、
「相府へはもちろんのこと、街へも出た様子はありません。二夫人の御寮を護って、番犬のように、門側の小屋に起居し、時々院の外を通る者が、のぞいて見るとよく読書している姿を見うけるそうで」と、彼の近況を語ると、曹操は打ちうなずいて心から同情を寄せるように、
「さもあらん、さもあらん。――英雄の心情、悶々たるものがあろう」と、独りつぶやいていた。
その同情のあらわれた数日の後、曹操は急に関羽を参内の車に誘った。
そして朝廷に伴って、天子にまみえさせた。もとより陪臣なので、殿上にはのぼれない。