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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

好敵手

一

「味方の陣地は、北の道を降りるのですが」と、重ねていうと、

「だから南へ降りるのだ。ここまで来て、空しく北へ降りるのは遺憾千万ではないか。……事のついでに、この谷を降り、彼方の嶺をこえて、敵の動静を探って帰ろう」

と孫策が始めて意を明かすと、さしも豪胆な武将たちも、びっくりした。

「えっ。この十三騎で?」

「ひそかに近づくには、むしろ小勢がよかろう。臆病風にふかれて危ぶむ者は、帰っても苦しゅうないぞ」

そういわれては、帰る者も諫める者もあるわけはなかった。

渓流へ下りて、馬に水飼い、また一つの嶺をめぐって、南方の平野をのぞきかけた。

すると早くも、その附近まで出ていた劉の斥候が、

「孫策らしい大将が、わずか十騎ばかりで、すぐあの山まで来ています」

と、中軍――即ち司令部へ馳けこんで急報した。

「そんなはずはない」

劉※(「鷂のへん+系」、第3水準1-90-20)は、信じなかった。

次の物見がまた、

「たしかに孫策です」と、告げてくると、

「しからば計略だ。――敵の謀略にのってかろがろしく動くな」と、なおさら疑った。

幕将の中でも下級の組に、年若いひとりの将校がいた。