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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

奇計

一

と、すぐ糺した。

陳登はわざと眉を曇らして、

「案の定、まことに憂うべき状態です」と、いった。

呂布はもちろん顔色を変えた。

「では、わが眼のとどかぬ出城へ移って、早くも陳宮は異心をさし挟んでおる様子か」

「孫観、呉敦の輩は、もともと山野の賊頭なので、利を見て動くこともあろうかと、ひそかにおそれていましたが、陳宮のようなご恩顧の直臣までが、裏切りを謀っておろうとは思いませんでした。実に、人の心は頼み難いものです」

「いや陳宮は近頃、自分の言が事ごとに容れられないので、おれにすねているふうがあった。危うい哉――何も知らずに蕭関へ臨んだら、呂布は一生の大事を過るところだった」

彼は、陳登の功をたたえ、次の如き一策をさずけて、再び陳登を蕭関へ返した。

「――おれの伝令と偽って、陳宮に会い、何事でもよいから評議に時を移し、なるべく陳宮を酒に酔わしておけ。そして城楼から火の手をあげ、乾の門をあけておくのだ。火の手と共におれが突き進んで、自身、彼を成敗してしまうから」

呂布は、すこぶる賢明な策のつもりだった。――で、日没頃から徐々と移動を起し、全軍、蕭関へ向って近づいていた。