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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

四

四

見れば、ひとりは豹頭虎眉の猛者、すなわち張飛、ひとりは朱面長髯の豪傑、すなわち関羽であった。

「や。や。玄徳の義弟だ」

「張、関が現れたぞ」

眼に見、耳に聞いただけでも、呂布の兵は震い怖れた。ふたりは無人の境を行くように、呂布の備えを蹂躪した。

「ふがいなき味方かな」と、大将高順は部下を叱咤し、張飛の前に立ちふさがって、鏘々、火花を交わしたが、たちまち、馬の尻に鞭打って、潰走する味方の中に没し去った。

関羽は、八十二斤の青龍刀をひっさげ、あえて、雑兵には眼もくれず、中軍へ猪突して、

「めずらしや呂布、赤兎馬はなお健在なりや」と、呼びかけた。

事の不意と、意外な敵の出現に呂布は動転していたが、是非なく、馬を返して戦った。

ところへまた、

「兄貴、その敵は、おれにくれ」と、張飛が見つけて、迅雷のようにかかって来た。

呂布は心中に、

「きょうは悪日」と呟いて、あわてふためきながら逃げだした。

「や、おのれ、待て」と、張飛は追う。

関羽も跳ぶ。

赤兎馬の尾も触れんばかり後ろに迫ったが、彼の馬と、呂布の馬とは、その脚足がまるで違う。

駿足赤兎馬の迅い脚は、辛くも呂布の一命を救った。