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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

三

「お風邪をひくといけませんよ。……ではこれでお暇いたしますよ」

送ってきた兵は、典韋の体をゆり動かしたが、典韋の鼾声は高くなるばかりであった。

「……左様なら」

赤毛赤髯の兵卒は、後ずさりに、出て行った。その手には、典韋の戟を、いつのまにか奪りあげて持っていた。

三

曹操はこよいも、鄒氏と共に酒を酌みかわしていた。

ふと、杯をおいて、

「なんだ、あの馬蹄の音は」と、怪しんで、すぐ侍臣を見せにやった。

侍臣は、帰ってきて、

「張繍の隊が、逃亡兵を防ぐため、見廻りしているのでした」と、告げた。

「ああそうか」

曹操は、疑わなかった。

けれどまた、二更の頃、ふいに中軍の外で、吶喊の声がした。

「見てこい! 何事だ?」

ふたたび侍臣は馳けて行った。そして帳外からこう復命した。

「何事でもありません。兵の粗相から馬糧を積んだ車に火がついたので、一同で消し止めているところです」

「失火か。……何のことだ」

すると、それから間もなく、窓の隙間に、ぱっと赤い火光が映じた。宵から泰然とかまえていた曹操も、ぎょッとして、窓を押し開いてみると、陣中いちめん黒煙である。それにただ事ならぬ喊声と人影のうごきに、