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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

三

君、ひとつそれに、あとの詩句をつけてみんか」

「できません、所詮」

「詩は作らんかね」

「どうも生れつき不風流にできているとみえまする」

「おもしろくない男だなあ、実に君という人物は」

「恐縮です」

「では、飲む一方とするか。なぜ酒杯を下におかれるか」

「興も充分に尽しました。もはやお暇を告げたいと存じますから」

「いかん!」

曹操は自分のさかずきを突きつけて云った。

「まだ英雄論も語りつくしておらんではないか。――君はさっき、袁術、袁紹のふたりを当世の英雄にあげたが、もうほかに天下に人物なしと心得ておられるか。――借問す! 現代は事実、そんなにも人材が貧困だろうか」

三

強いられる酒杯と、向けてくる話題に、玄徳は、むげにも座を立ちかねて、

「いや、最前あげた名は、世俗の聞きおよびを、申しあげてみたまでに過ぎません」

と、またつい、さされる一盞をうけてしまった。

曹操は、矢つぎ早に、

「俗衆の論でもいい、袁紹、袁術のほかには、誰がもっぱら、当今の英雄と擬せられているか」

「次には、荊州の劉表でしょうか」

「劉表」

「威は九州を鎮めて、八俊と呼ばれ、領治にも見るべきものがあるとか、聞き及んでいますが」