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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

五

そして遂に、袁術へ提携を呼びかけた婚姻政略の蒸し返しは、一時、断念してしまった。

五

呂布は、小沛の敵――劉玄徳には、そう恐れを抱いていない。

彼が恐れているのは、曹操を敵にまわすことである。

が、玄徳を攻めれば、当然、曹操を敵として、乾坤一擲の運命を賭すまでの局面へ行き当る――それは、避けたいのだ。しかし目前の玄徳は討たざるを得ない。すでに、小沛の城は三方から自分の兵で押しつつんでいる。

(袁術との同盟さえ成れば、曹操が起っても、恐るるには足らないが)

と考えて、彼は急遽、萌を淮南へ飛ばし、袁術の肚を当ってみたわけであるが、先も足もとを見て、妥協しかねる条件を持ち出すなど、不遜な態度を示したので、呂布は自己の面子としても、また、わが娘への愛着からも、これ以上の屈辱には忍べなかった。

で。――そのほうが望み薄ときまると、却って彼は肚がすわったように、

「よし、この上は」と翌日は、自身、戦場に臨んで、督戦した。

「こんな小城一つに、幾日、攻めあぐねておるぞ。一押しに、踏みつぶせ」

味方を叱咤しながら、彼を乗せた赤兎馬は、はや小沛の城の下まで迫っていた。

すると城壁の上に、劉玄徳がすがたを現わして、呂布へ呼びかけ、諄々といった。