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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

三

――見れば、顔や手足ばかりでなく、背にも臂にも、縄目のあとが痣になっていた。そして全身、鼈甲の斑みたいにはれている。

「……なるほど、詐りでもないらしいが」と、疑いぶかい劉岱も、半分以上、信じてきたが、まだ決しかねて、敵の夜討ちに備える手配も怠っていた。

すると、果たして。

二更もすこし過ぎた頃、防寨の丸木櫓にのぼっている不寝番が、

「夜襲らしいぞ」と、警板をたたいた。

夜霜のうちから潮のような鬨の声が聞えた。と思うと、陣門の前面に、敵が柴をつんで焼き立てる火光がぼっと空に映じた。矢うなりはもう劉岱の身辺にも落ちてきた。

「しまった! ……敵兵の密訴は嘘でもなかったのだ。それっ、一致して防戦にあたれ」

あわてふためいた劉岱は、自分も得物を取って、直ちに防ぎに走りだした。

三

諸所へ火を放ち、矢束を射込み、鼓を鳴らし、鬨の声をあげなどして、張飛の夜襲はまことに張飛らしく、派手に押しよせてきた。

劉岱は、それを見て、

「彼奴、勇なりといえども、もとより智謀はない男、何ほどのことやあらん」

とひと跳びの意気で、防戦にあたった。

劉岱の指揮の下に、全塁の将卒がこぞって駈け向ったので、たちまち、夜襲の敵は撃退され、いかに張飛が、