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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

三

どこやらに清雅縹渺として、心根のすずやかなものが香うのである。

「これこそ、佳い人品というものであろう。久しぶりに人らしい人を見た」

曹操は、心のうちに呟きながら、いとも小憎く思った。

いや、怖ろしく思った。

彼のすずやかな眼光は、自分の胸の底まで見透している気がしたからである。――こういう人間が、自分の味方以外にいることは、たとえ敵でなくとも、妨げとなるような気がしてならなかった。

「……時に。ご辺は一体、どういうわけで、今日の勅使に選ばれてお越しあったか。ご生国は、何処でおわすか」

やがて席をかえてから、曹操はそれとなく訊ねてみた。

三

「お尋ねにあずかって恥じ入ります」と、勅使董昭は、言葉少なに、曹操へ答えた。

「三十年があいだ、いたずらに恩禄をいただくのみで、なんの功もない人間です」

「今の官職は」

「正議郎を勤めております」

「お故郷は」

「済陰定陶(山東省)の生れで董昭字は公仁と申します」

「ホ、やはり山東の産か」

「以前は、袁紹の従事として仕えていましたが、天子のご還幸を聞いて、洛陽へ馳せのぼり、菲才をもって、朝に出仕いたしております」

「いや、不躾なことを、つい根掘り葉掘り。