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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

三

「きょうは大いに飲もう」と、なった。

そこで侯成は酒五瓶と、猪の肥えたのを一匹、部下にかつがせて、主君の前にやって来た。そして告げるに、降人の成敗と、愛馬を取返した事実をもってし、

「これも将軍の虎威によるところと、諸大将相賀して、折ふし猪を猟して、いささか祝宴をひらいております。どうかご主君にも、ご一笑下さいまし」

と、品々をそこにならべて拝伏した。

すると呂布は、勃然と、怒を発して、

「なんだっ、これは」と、酒瓶を蹴仆した。

一つの酒瓶が他の酒瓶に当ったので、瓶は腹を破って、一斛の酒がそこに噴き出した。侯成は全身に酒を浴び、強烈な香気は、呂布の怒りをなお甚だしくさせた。

「おれ自身、酒を断ち、城中にも禁酒の法を出してあるのに、汝ら大将たる者が、歓びに事よせて、酒宴をひらくとは何事だ」

呂布は左右の武士に向って、侯成を斬れと罵った。

仰天した侍臣の一名が、ほかの大将たちを呼んできた。諸人は哀訴百拝して、

「助けたまえ」

と、侯成のために命乞いをしたが、呂布は容易に顔色をおさめなかった。

三

「この際、侯成のごとき得難い大将を馘るのは、敵に歓びを与え、味方の士気を損じるのみで、実に悲しいことです」