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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
二
「真紅の旗」
「紅の旗が、東南風で折れましたか。さらばご懸念にはおよびません。これ、兵法の天象篇占風訣の一項に見えるとおり、敵に夜陰のうごきある兆です」
と彼はいった。
先鋒の毛も、わざわざ駒を返してきて、同じ意見を曹操に達した。
「――紅旗、東南風に仆るるは、夜襲の敵意なりと、むかしから兵家は云い伝えています。ご用心あるように」
曹操は天に謝して、
「われを警めたもうは、天、われを扶くるのである。怠ってはなるまい。九陣にわかれ、八面に兵を埋伏し、各※(二の字点、1-2-22)、英気をふくんで、夜陰を待ちかまえろ」
と、必殺の捕捉陣をしいて、陽の没するのを合図に、全軍くろぐろと影を沈めていた。
二
「家兄。――お支度は」
「ととのうた。張飛、兵馬の用意はいいか」
「もとより抜かりはありません。孫乾も行きたがっていますが、彼には守りを頼みました。そう皆、城を空にして出かけてもいけませんから」
「あいにくと、夜襲には不向きな月夜だな……。敵に悟られるおそれはないか」
「闇夜をえらぶのが、夜襲の定法になっています。ですから今宵のような月明りに、敵はひとしお安心していましょう」