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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

四

四

さてまた。

留守城の徐州では、

「者ども、警備を怠るな」と、張飛は張切って、日夜、望楼に立ち、家兄玄徳の軍旅の苦労をしのんで、自分も軍衣を解いて牀に長々と寝るということもなかった。

「さすがは張将軍である」と、留守の将士も服していた。彼の一手一足に軍律は守られていた。

きょうも彼は、城内の防塁を見廻った。皆、よくやっている。城中でありながら士卒も部将も、野営同様に、土に臥し、粗食に甘んじている。

「感心感心」

彼は、士卒の中を、賞め歩いていた。――が、その感賞を、張飛は、言葉だけで、世辞のように振りまいて歩いているのは、なんだか気がすまなかった。

「弓も弦を懸けたままにしておいては、ゆるんでしまう。たまには、弦をはずして、暢びるのもよいことだ。――その代り、いざとなったら直ぐピンと張れよ」

こういって、彼は、封印しておいた酒蔵から、大きな酒瓶を一箇、士卒に担わせて来て、大勢の真ん中へ置いた。

「さあ飲め、毎日、ご苦労であるぞ。――これは其方どもの忠勤に対する褒美だ。仲よく汲みわけて、今日は一献ずつ飲め」

「将軍、よろしいのですか」

部将は、怪しみ、かつ、おそれた。