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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
北客
一
――第一回の追撃は敵も追撃されるのを予想していますから、策を授け、兵も強いのを残して、後ろに備えるのが常識の退却法です。が、――二度目となると、もう追いくる敵もあるまいと、強兵は前に立ち、弱兵は後となって、自然気もゆるみますから、その虚を追えば、必ず勝つなと信じたわけであります」
北客
一
ようやく許都に帰りついた曹操は帰還の軍隊を解くにあたって、傍らの諸将にいった。
「先頃、安象で大敵に待たれた時、見つけない一名の将が手勢百人たらずを率い、予の苦戦を援けていたが、さだめし我に仕官を望む者であろう。いずれの隊伍に属しておるか、糺してみよ」
命に依って、幕僚の一名は、将台に立って、その由を、全軍の上に伝えた。
すると、隊列の遥か後ろのほうから声に応じて、一かどの面だましいを備えた武将が、槍を小脇にさしはさんで進み出で、
「此方であります」
と、曹操の前にかしこまった。
曹操は、一瞥して、
「如何なる素姓の者か」と、たずねた。
「はっ、或いはなお、ご記憶にありはせぬかと存じますが。――自分はかつて、黄巾賊の乱にもいささか功をたて、一時は鎮威中郎将の栄職にありましたが、その後、思うところあって、故郷汝南に帰っていました。