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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁
改元
一
「獣っ、待てっ、これから先は洛陽の都門、獣類の通る道でないっ」と、どなった。
「なにッ、俺ッちを、獣だと。この青二才め」
喚きかかって来るのを引っぱずして、徐晃は、雷声一撃。
「よくも今日まで!」
と、日頃こらえにこらえていた怒りを一度に発して、大刀の下に見事李楽を両断してしまった。
改元
一
幾度か、虎口を遁れ、百難をこえて、帝は、ようやく洛陽の旧都へ還られた。
「――ああ。これが洛陽だったろうか?」
帝は、憮然として、そこに立たれた。
侍衛の百官も、「変れば変るもの」と、涙を催さぬ者はなかった。
洛陽千万戸、紫瑠璃黄玉の城楼宮門の址も、今は何処?
見わたす限り草茫々の野原に過ぎなかった。石あれば楼台の址、水あれば朱欄の橋や水亭の玉池があった蹟である。
官衙も民家も、すべて、焼け石と材木を草の中に余しているだけだった。秋も暮れて、もう冬に近いこの蕭々たる廃都には、鶏犬の声さえしなかった。
でも、帝には、
「ここらが、温徳殿の址ではないか。この辺りか、商金門の蹟……」
と、なつかしげに禁門省垣の面影を偲びながら、半日もさまよい歩かれた。
それにつけても、董卓がこの都を捨てて、長安へ遷都を強いたあの時の乱暴さと、すさまじい兵乱の火が、帝のお胸に、悔恨となってひしと思い起された。