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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

「へい、御霊廟は残っておりますが、誰も祭る者はございませぬので、いやもうひどく荒れておりまする」

「嶺の上か。そこは」

「頂上よりは下った中腹で、そこへ登りますると、陽湖から揚子江のながれは目の下で、江南江北も一目に見わたされまする」

「明日、われをそこへ案内せい。自身参って、廟を掃い、いささか心ばかりの祭をいたすであろう」

「かしこまりました」

里長が帰って行った後で、張昭は、彼に諫めた。

「廟の祭をなさるのも結構ですが、戦終った後でなされてもいいでしょう」

「いや、急になにか、詣でたくなった。行かないと気がすまない」

「それはまた、なぜですか」

「ゆうべ夢を見た」

「夢を?」

「光武帝がわが枕元に立たれて、招くかと思えば、松籟颯々と、神亭の嶺に、虹のごとき光を曳いて見えなくなった」

「……でも今、山の南には、劉が本陣をすすめております。途中もし伏勢にでもお遇い遊ばしたら」

「いやいや、われには神明の加護がある。神の招きによって、神の祭に詣ずるのだ。なんの怖れやあろう」

次の日。――約束の里長を案内者として、彼は騎馬で山道へ向った。

随従の輩には、

程普、黄蓋、韓当、蒋欽、周泰などの十三将がつづいた。