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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

彼はさっきから斥候の頻々たる報告を聞いて、ひとり疼々しているふうだったが、ついに、諸将のうしろから躍りでて叫んだ。

「天の与えというものです。この時をはずしてどうしましょう。どうか、それがしに、孫策を生け捕ってこいとお命じ下さい」

劉※(「鷂のへん+系」、第3水準1-90-20)は、その将校を見て、

「太史慈。――また、広言を吐くか」と、いった。

「広言ではございません。かかる時をむなしく過して、手をこまねいているくらいなら、戦場へ出ないほうがましです」

「行け。それほど申すなら」

「有難うぞんじます」と一礼して、太史慈は勇躍しながら、

「おゆるしが出た。われと思わん者はつづけ」

と、たった一人、馬に跳び乗るが早いか、馳けだして行った。

すると座中からまた一名の若い武将が立ち上がって、

「孫策は、まことの勇将だ。見捨ててはおけない」と、馬を出して馳け去った。

満座、みな大いに笑う。

一方、孫策は、敵の布陣をあらまし見届けたので、

「帰ろうか」と、馬をかえしかけていた。

ところへ、麓のほうから、

「逃ぐるなかれ! 孫策っ、逃ぐるなかれ!」と、呼ばわる者がある。

「――誰だ?」