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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

と、帝の周囲は、帝にすすめ参らせた。

白波帥とは、何者の党か。

帝には、ご存じもない。

いわるるまま詔書を発せられた。

いかに乱世でも、思いがけないことが降って来るもの哉――と、それを受けた白波帥の頭目どもは驚いたにちがいない。

彼らは、太古の山林に住み、旅人や良民の肉を喰らい血にうそぶいて生きている緑林の徒――いわゆる山賊強盗を渡世とした輩だったからである。

「おい。出向いてみようか」

「ほんとかい。天子の詔書が、俺たちを呼びにくるなんて」

「嘘じゃあるめえ。なんでも、長安のどさくさから、逃げ惑っておいでなさるってえ噂はちらほら聞えている」

「一党を率いて、出向いたところを一網に御用ってな陥し穽じゃあるめえな」

「先にそんな軍勢がいるものか。いつまで俺たちも、虎や狼の親分でいても仕方がねえ。一足跳びの立身出世は今この時だ。手下を率き連れて出かけよう」

李楽、韓暹、胡才の三親分は、評議一決して、山林の豺狼千余人を糾合し、

「おれたちは、今日から官軍になるんだ。ちっとばかり、行儀を良くしなくッちゃいけねえぞ」

と、訓令して、馳せつけた。

味方を得て、御車はふたたび、弘農をさして急いだ。