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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(三)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 頁

青空文庫

「いや、陳珪のいうところも、一理あるから、どうしようかと思案していたのさ」

「死にかけている病人の意見などに動かされて、せっかくの良縁を、あなたは破棄してしまうおつもりですか」

「むすめは、どうしているね」

「泣いておりますよ、可哀そうに……」

「弱ったなあ」

呂布はつぶやきながら、吏士たちの詰めている政閣のほうへ出て行った。

すると何事か、そこで吏士たちがさわいでいた。

侍臣に訊かせてみると、

「小沛の劉備が、どこからか、続々と、馬を買いこんでいるといっているのです」

と、告げた。

呂布は、大口あいて笑った。

「武将が、馬を買入れるのは、いざという時の心がけで、なにも、目にかどを立ててさわぐこともあるまい――わしも良馬を集めたいと思って、先ごろ、宋憲以下の者どもを山東へつかわしてあるが、彼らも、もう帰ってくる時分だろう」

それから三日目だった。

山東地方へ軍馬を求めに出張していた宋憲と、その他の役人どもは、まるで狐にでもつままれたような恰好で、ぼんやり城中へ帰ってきた。

「軍馬はたくさん集めてきたか。さっそく逸物を五、六頭ひいて見せい」

呂布がいうと、

「申し訳ございません」